学環シンポ

福武ホールにて、「研究者資料のアーカイブズ-知の遺産 その継承に向けて-」が催される。参加するため、平日通り本郷へ参る。
午前はラーニングシアターとスタジオを利用して個別発表と云々。
両方聞きたい話があり悩ましかったけど、シアターの方に参る。センター長のY先生とご挨拶。
午前中に聞いた発表は以下の通り。

  • 「総長関係資料と教育史・大学史研究-渡邊洪基・古在由直資料から-」谷本宗生
  • 「近現代の科学史研究における資料のアーカイブ化の意義-坪井誠太郎資料調査から得られた知見より-」栃内文彦
  • 「研究者資料のアーカイヴ構築と活用:油井正一資料を中心に」本間友
  • 「小野秀雄関係資料のアーカイブと展示-コレクション活用の問題点と意義-」玉井建也 他

個別の内容は、内容で知らないことばかりだったので面白かった。
でも今回の話を聞いていると、あくまでアーカイブの方法論(もしくは収集・構築)が主題となるのね。
歴史学をやっていると、史料収集を個人で行い、その先を論述することを目指す訳だけど。どちらかといえば、古文書学の様式論を構築するという発想に近いのか。
そして、午後はシンポジウム。

  • 【基調講演】「草稿資料の整理・保存・供用をめぐる諸問題―東京女子大学丸山文庫の経験から」平石直昭
  • 「世界音楽のアーカイビングをめざして:小泉文夫記念資料室の概況と展望」植村幸生
  • 「研究者資料か?研究資料か?:京都大学研究資源アーカイブの活動と課題」山下俊介・五島敏芳
  • 「高度アーカイブ化事業と研究者資料のアーカイブズ―坪井正五郎と小野秀雄関係資料を中心に―」研谷紀夫
  • 【特別講演】「平賀譲デジタルアーカイブ ―その概要と新しい歴史史料研究システムの提案―」大和裕幸

特に面白かったのが五島先生のお話。研究者が残した資料は、膨大になりすぎて、最終的に(現在の研究動向や、受け入れの問題、大学側の意向、資金の問題などなどで)選別されて、残していくしかないと云々。
あと、大和先生の平賀譲DAは、歴史学を交えずsystemを構築されたと云々。こういう話が、歴史系の人間が知らずに、いろんなところで、進められているんだろうなぁ。歴史学がうまくコミットできる方法があれば、双方のためになるんでしょう。
とても興味深い話ばかりだった。ただ、前にもここで書いたように、歴史学の研究者資料や歴史知識を集積しようというのは、紙ベースの思想から脱却しない限り難しいかも知れず。