『徴古文書』

 西大寺文書を調べていたら見つけた本。
 目当ての文書は見つからなかったけど、例言を読んで編纂の由縁を知る。編纂所は現在、刊行しているもの以外に様々な集積を、こうして行っていたんですなぁ。

例言
一 曩きに修史局創立せられて以来現今の史料編纂掛に至るまで史局に於て採訪せられたる記録文書の類汗牛充棟啻ならず就中古文書の如き殆と十万余通に上り一々影写を施して之を蔵せれる加之甞て徳川氏の世幕命を以て採訪影写したりしものも亦伝へて多く史局に在り然れとも其浩瀚なる容易に之を窺ふへきにあらず乃特に余輩が参考して興味あるべしと覚えたる文書を請ふて之を印刷に附し同学相頒ち以て謄写の労に代ふ固より江海の涓滴に過ぎずといへども聊以て国史の研究に資するに足らむ歟
一 本書は文書を地方別にせり即ち畿内に始めて順次一道若しくは二道を一集となし次て華冑名家及巨刹等の尤文書に富みめるものに及び十集を以て全部となす一国の中に於ては所蔵者を「イロハ」順としその文書は年代を追ふて序列せり但し年月の分明ならざるものも多くは推定して適宜之を挿入せり
(後略)
 明治二十九年六月          黒板 勝美 識
                      下村三四吉