贈与論

桜井さんの新刊の新書が面白い。
笠松先生や勝俣先生のもそうだけど、こうした斬新な話が実証的に、且つ面白く書かれているのが、新書なんだよなぁ。
さて。文中にあった

中世とは、一年中さまざまな事由の贈答品がかなりのタイムラグをともないながら飛び交っていた時代である。そのような時代に交際を円滑に続けるためには
、今日届いたこの贈り物の事由がいつどこで発生したのか、そしてその品目はどのようなもので、数量はどれくらいあったか、さらにはそれを持参したのが本人であったか、使者であったか、使者の場合にはどの程度の身分の者をよこしたか等々の情報を正確に記録しておくことが不可欠であった。それらの記録は、そのまま返礼をおこなう際の基準となる。

を読むと、改めて、こんな考え方をもつ中世人が裁判で当事者主義をモットーとして、裁許を行う側が法令を集積していないとは考えづらいんだよね。
もしくは、中世の法思想として、集積していたとしても、あくまで当事者主義としていたか。