勘宣旨

佐々木さんの勘宣旨の論文より。

「勘宣旨」は、先例等の勘進を弁官局に(さらに弁官局を通じて諸司に)命じるものであり、その手続きは通常の「下弁官宣旨」と同様のルートでおこなわれる。したがって、そのなかには諸司・諸国の申請をうけたものと、天皇や摂関自身の命令になるものとがあること、また奉勅によるものと上宣によるものとがあることは「下弁官宣旨」と同じである。しかし、「勘宣旨」は勘申の結果を覆奏・復命することが条件となっており、覆奏・復命される時点でも「勘宣旨」と呼ばれていることから、その時点までが「勘宣旨」の手続きに含まれていた。このような点で、「勘宣旨」は「下弁官宣旨」とは異なる、一つの独立した政務手続として捉えることが可能であると思われるのである。

厳密な意味での政務手続きというより、実資が切り分けしているだけとではないかと思わなくもない。他の記録に「勘宣旨」なるものは出てこないし。
また、総体的な「宣旨」というものに、「勘宣旨」のような覆奏などのやりが含まれるものがあるとするならば、宣旨→綸旨・院宣という古文書学的な流れは、考え直す必要性が生じるかもと云々。備忘として記し置く。