勘宣旨

小右記の担当条に出て来る「勘宣旨」の専論2本を読み直し。
佐々木恵介「『小右記』にみえる「勘宣旨」について−政務手続きとしての宣旨−」(山中裕編『摂関時代と古記録』吉川弘文館 1991年)
山本信吉「起請宣旨・勘宣旨小考」(『鎌倉遺文研究』6号)
引用は山本先生の論文から。

 朝廷で公事を執行するため宣旨を仰せ下す場合、その宣旨の内容を検討し、前例がある場合はその前例について勘申せしめるのが原則であった。『小右記』などの貴族日記にみえる「勘宣旨」がそれで、藤原実資などが上卿として宣旨を下す場合、そのまま宣下して問題がないか、あるいは勘宣旨として扱うのかを弁官・外記・蔵人などと協議、もしくは指示することが重要な判断事項であった。

ついでに井原先生の「公家史料にみる外記の宣旨発給と吉良満義の信州発向」(『信濃』61-12 2009年)と藤田励夫「中世後期北野社における穢をめぐる諸問題」(『史朋』27号 1992年)をコピー。