ヤクザ論

 伊藤正敏『寺社勢力の中世 −無縁・有縁・移民』ちくま新書734
 通勤読書。
 このところ、新書には多くの出版社が参入していて、以前よりも面白い歴史の本が出ているような。
 ま、当然、面白くないのも多いけど。やはり新書は戦略的に面白いモノを書かないといけないんでしょうなぁ。あくまで一般書なんだから。

 面白く読んでいた中、

無批判に礼賛されがちな武士であるが、その台頭には経済ヤクザさながらの暗黒史を伴っている。武士=ヤクザ論は、今日でも関西の学界で底流として流れている。西の朝廷・寺社と東の鎌倉幕府の対立が、今日にも受け継がれているようで興味深い。

 ↑の部分で、数年前の歴研大会を思い出した。Oさんが同様のことを質疑で仰った際、大家がたしなめた場面。
 個人的には、関東は在地領主論・ヤクザ論、関西は軍事貴族・職能論が主だと思っていたけど、違うのかなぁと朧気に考えていたのだけど、改めてそうしたものかと納得。
 あくまで都から見れば東夷はヤクザの如きものだし、東から見れば武士=在地領主は階級闘争の主人公だから。